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コラム

第10回急性期治から回復期へ

急性期症状の回復のスピードには個人差があります。しかし、ほとんどの人の回復過程には急性期の激しい症状を呈したあまり、心のエネルギーが消耗しきった状態が訪れます。

このような時期を「回復期」と云います。経験的に、この時期が1年以内であることはとても早い方で、概ね2~3年以上かけてゆっくりと回復に至ります。云い換えるとその間はまだ本調子とは云えないため、本人や家族にはそれなりの生活のコツを理解して頂き、焦らずに回復を待つことが大切です。以下の様な症状です。

 

  • 第一によく寝ていることです。夜も寝て、朝寝をし昼からも眠っているなど。睡眠を取ることで神経の消耗からの回復が促されています。自覚的には熟睡できたという感覚が良く、熟睡できない時が続くことは回復がまだ思わしくない可能性があります。医師が「よく眠れていますか?」と尋ねるのは、このような意味があるのです。
  • 第二の特徴は、疲れ易く、根気がなく、身体のだるさ等の症状を呈します。そして意欲の低下も自覚し、時に憂鬱な気持ちを伴うこともあります。家族が、あまりにゴロゴロと寝てばかりいるのを見かねて、「少しは運動でもしなさい」と叱責してもあまり効果はありません。エネルギーが満たされれば自然に動きが出てきます。はやる気持ちを本人も家族も少し抑え、休息を保証し、「時が必ず解決してくれる」と待ちの姿勢でいることです。
  • しばしば「甘え」が出てきます。身体は大人でも例えば、べったりと母親のそばを離れず夜も一緒に寝たがったり、父親にじゃれたりする等スキンシップを求めることもあります。家族としては煩わしく思うこともあるかもしれません。人はエネルギーが低下した時は子供っぽくなるもので、誰もがあった甘えを繰り返し、神経の立て直しをしているようなものです。暴力や度が過ぎた振る舞いは叱ることは必要ですが、それ以外は大目に見ることです。回復が進むと消えていきます。また間食する様になり、甘いものをよく食べることもあります。体重が増えることも多いようです。
  • そして自然に元の健康な部分が顔を出し、活動範囲が広がっていきます。見なかったテレビをみたり、ⅭⅮを聴いたり、友達に電話をしたり。会話量や会話をする相手の数も少しずつ増えていきます。
  • 自分の好きなことや興味あることからはじまり、興味のないことや、やらなければならないことは後回しになります。家族としては「好きなことばかりしている、我が儘放題」と映るでしょうが、これは「それが出来るくらいならば色んなことが出来るはず」と思うからで、先々を期待してしまいます。あれやこれやとやり過ぎると疲れがでて自信を失うこともあり、一つずつこなして大丈夫だと確かめていくことが大切です。「ゆとり」が出てから次のことに挑戦してみることです。

 

次回はその後の経過についてお話します。

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