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コラム

第24回年を取るということ(中)

少し理屈っぽくなりますが、もともと「適応」という概念は「進化論」を唱えたダーウィンの適者生存という考え方を生物学から借りてきたもので、個人が自己内部の欲求や外部社会からの要請に順応し、心理的・社会的に生き残ることを意味しています。

 

現代のように情報と物があふれかえり目まぐるしく変化していく社会の中で適応しながら生きていくためには、柔軟性・融通性・弾力性が必要になります。

 

しかしながら、老いていくということはこれらの能力が徐々に衰え、堅さ・もろさ・こだわりが強くなり、適応力が低下していくということになります。加えて、頭の老化が進むと判断力が怪しくなり、抑制を欠くことも多くなり、しかもわがままな傾向も強まり、ますます適応が困難になっていきます。

 

さらに、周りの人の理解のなさやないがしろにする態度は、そのような傾向をますます助長させることも忘れてはなりません。

 

何だか年を取ることがひどくみじめに思われるかもしれませんので、言い添えておきますが、誰もがそうなるわけではありません。それなりに統制された人格の持ち主は、老いていきながらもそれなりに適応して生きていけるわけです。

 

さらにつけ加えますと、ライフサイクルから人の一生をとらえたエリクソンはこんなふうに言っています。

「老年期は人生の善悪その他相反する矛盾など様々な面が受容され、さらには人間的深さという点で統合されていく成熟の段階」

(ちょっと格好良すぎます)

 

「真に自分の人生を生きて人間的に成熟した者は、老年期には完全に自我統合に達し、死の恐怖をほとんど感じない」

(私にはとても無理です)

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