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コラム

第26回ぼけないためにーお年寄りとその家族のために(上)

今回から具体的な認知症の話を進めていきたいと思います。

 

はじめに

ちょっと前の出来事や話したり聞いたりしたことを忘れてしまい、物をおいた場所やしまった場所が判らなくなり、さらにそんな状態が進んで、日時があやしくなり、自分のいる所がどこで、一緒に生活している人が誰か判らなくなってしまうような世界(この順番でボケは進んでいきます)、そんな認知症の世界に身をおいたとしたら、人はいったいどんな気持ちになるでしょう。おそらく強い不安にさいなまれ時には恐怖を感じ、何をどうしていいか判らず、ただただ戸惑って混乱してしまうのではないでしょうか。

 

老年精神医学の大家である国立療養所菊池病院の名誉院長の室伏君士先生はこんなふうに言っています。

「認知症とはと問うのではなく、認知症老人とはと問うことで、彼らは認知症というハンディキャップを持ちながらも、その中で彼らなりに、何とか一生懸命に生きようと努力している姿、あるいはそれができなくて困惑や混乱している姿として認められる。」

 

近年、高齢社会(最近のデータでは65歳以上の人が全人口に占める割合は19%を越えています)の到来とともにそのような認知症のお年寄りが、確実に増加してきています。

浜松医療センターの脳外科医金子満雄先生が神経心理テストを使って調査したデータでは60歳代で12%、70歳代で30%、80歳代で50%、90歳代では何と70%の人が何らかの記憶・認知障害を認めたという結果が出ています。このデータからすると加齢とともに徐々にボケていくのは自然な摂理のようにも思われます。

 

しかし、年をとれば誰もがボケるのでしょうか。決してそうではありません。亡くなられたきんさん、ぎんさんのように100 歳を越えても、とてもしっかりしたお年寄りも実はたくさんいらっしゃいます(去年のデータでは100 歳以上の方は2万人を越えています)。たとえば、プロスキーヤーの三浦雄一郎のお父さん三浦敬三さんは100 歳で一人暮らしをされ今も現役のスキーヤーですし、聖路加病院名誉院長の日野原重明先生は94歳ですが今も現役の医者で積極的に講演活動も行っておられます。

 

今回は、皆さんとともにボケについてまたどうすればボケないで年をとることができるのか考えてみたいと思います。

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