第30回介護する人、される人ーお年寄りとその家族のために(下)
今回はより具体的に認知症のお年寄りにどう関わればいいのかをお話します。
以前にもふれました室伏君士先生の「認知症のお年寄りへのケアの原則(20ヵ条)」を紹介します。
Ⅰ.お年寄りが穏やかに生きてゆけるように不安を解消すること
①急激な変化を避けること②お年寄りにとって頼りの人となること③安心の場(情況)を与えること④なじみの仲間の集まりをつくること⑤お年寄りを孤独にしないこと
Ⅱ.お年寄りの言動や心理をよく把握し対処すること
①お年寄りを尊重すること②お年寄りを理解すること③お年寄りと年代を同じにすること④説得より納得をはかること⑤それぞれのお年寄りの反応様式や行動パターンをよく把握し対処すること
Ⅲ.お年寄りを暖かくもてなすこと
①お年寄りのよい点を見出だし、よい点で付き合うこと②お年寄りを生活的・情況的に扱うこと③お年寄りを蔑視・排除・拒否しないこと④お年寄りを窮地に追い込まないこと(叱責・矯正しつづけないこと)⑤お年寄りに対して感情的にならないこと
Ⅳ.お年寄りに自分というものを感じられるようにすること
①お年寄りのペースに合わせること②お年寄りと行動をともにすること③簡単にパターン化して繰り返し教えること④お年寄りを寝込ませないこと⑤適切な刺激を少しづつでもたえず与えること
また、内科医の杉山孝博先生は上手な介護の12ヵ条として以下のことをあげておられます。①知は力なり②割り切り上手は介護上手③演技を楽しもう④過去にこだわらないで現在を認めよう⑤気負いは、負け⑥囲うより開けるが勝ち⑦仲間を見つけて、心軽く⑧ほーっと一息、気は軽く⑨借りる手は、多いほど楽⑩ペースは合わせるもの⑪相手の立場でものを考えよう⑫自分の健康管理にも気をつけて
さらに、脳外科医の金子満雄先生は「明るく・頭を使って・諦めないで」のスリーAを介護の基本にあげておられます。
以上で私のドクターリレーを終了します。長らくお付き合いいただきありがとうございました。
次回は大江徹先生に再び戻り、「睡眠障害」のお話になります。今しばらく大江病院のドクターリレーにお付き合い下さい。