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コラム

第34回精神科リハビリテーション(中)

今回は、精神科リハビリテーションの方法についてお話致します。前回もお話しましたが、精神科リハビリテーションでは、「自分自身の力で目標をクリアする事、自分で出来るようになる事」を目的として行われています。大切な事は「その方が自分らしい生活を送る事」で、その為にどのような生活の技能が必要で、どの様な方法がその方に合っているのかを本人、主治医、看護スタッフ、リハビリテーションスタッフが一緒に考えてリハビリテーション方法が選択されます。

 

リハビリテーションは入院中から開始され、必要に応じて退院後も継続されます。もちろん、入院生活をされている方と、退院して生活している方とでは必要とされる技能が違いますから、リハビリテーションを継続していく中でその都度必要な方法を選択していく事になります。ここでは、その方法をいくつか紹介いたします。

 

「集団精神療法(group psychotherapy)」これは、本人—主治医という個人的な精神療法に対し、集団に対して行われるもので、メンバー同志の相互作用と、メンバーと治療者との相互作用の両方がグループを構成する各メンバーの不適応行動の変化に効果があるとされています。

 

例えば、上手に人と関わる事が苦手だ、という何人かのグループで、何度も色々な事を話し合う事をくり返して、きちんと他の人の話を聞いて理解する事ができるようになったり、自分の気持ちや考えを表現する事ができるようになり、自分自身の理解や他の人との関わり方を見直す事が出来るようになってくる、という具合です。

 

これは、対人関係の問題をクリアしていく上でとても大切な事になります。集団精神療法では、対人関係の問題に限らず様々な問題や悩みが取り上げられます。

また、「社会生活技能訓練SST(Social Skills Training)」これは、精神に障がいを持つ人たちが社会の中で受ける生活上のしずらさ等に対応していく力をつけ、生活を維持していく為のリハビリテーションの一つとされています。ひとり一人の持つ困っている事についてメンバーが意見を出し合い、一緒に解決方法を考えて練習し、新しい技能を獲得していく事を目的としています。

 

一方、「心理教育」本人や家族が病気について学習したり体験を話し合ったりする事で、病気に関する知識や情報を取り入れ、病気の再発を防ぐ為の対処技能を身につけたり、体験の共有によって病気による孤立感を減らしたりする事ができ、より自分らしい生活に向かって行く事を目的としています。

 

次回は、主に入院中に行われる精神科作業療法についてお話いたします。

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