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コラム

第36回精神科ソーシャルワーカー

今回は、精神科ソーシャルワーカーについてお話をさせて頂きます。

 

日本における精神障がい者の人権擁護や社会復帰に関する取り組みは、他の諸外国に比べて、長年、立ち遅れた状況にありました。近年では、法律の改正などにより、ようやく精神障がい者への支援体制が整備されつつありますが、まだまだ課題は残されています。

 

そのような歴史の中で、精神科ソーシャルワーカー(PSW=Psychiatric Social Workerの略称)は、1950年代から精神科医療機関を中心に、精神科臨床チームの一員として導入されてきた専門職です。学問の体系を社会福祉学に置き、精神障がい者の社会復帰に向けての援助を行っています。そして、1997年には「精神保健福祉士」として国家資格が成立しました。

 

現在、精神科ソーシャルワーカーは、精神科医療機関のみではなく、授産施設、小規模作業所、生活訓練施設、地域生活支援センター、保健所、精神保健福祉センターなど様々な精神保健福祉領域で活動を行っています。その仕事内容は多岐に渡り、所属する機関によってもそれぞれ異なっています。

 

精神科ソーシャルワーカーの主な仕事としては、精神障がい者が適切な治療を受けられるよう相談に応じたり精神科医療に関する情報提供を行っています。また、入院した場合は医療のサービス内容や利用できる社会福祉制度の説明を行います。さらに、安心して療養が受けられるように療養中の諸問題の調整を行ったりもします。その他、経済的な問題が生じた場合は各種保険・福祉制度を活用し解決に向けての援助を行ったり、退院後、自ら望む生活を送れるように、必要な方には、生活設計段階からの援助を行っています。その他、精神障がい者が生活しやすい環境づくりの支援や、人権擁護に関する活動も行っています。さらに、社会復帰施設などにおいては、作業指導、生活指導を行ったり、生活全般に関する電話・来所相談、並びに、就労支援などを行って、精神障がい者のニーズに合わせて、生活を側面的に支援しています。

 

現代社会は高ストレス社会ともいわれ、社会状況の変化に伴い、精神科ソーシャルワーカーが関わるニーズも多種多様なものに変化しています。そういった状況下においても、精神科ソーシャルワーカーは日々、柔軟な対応が求められます。

 

精神障がい者が、地域社会において主体的に自らの生活を組み立て、より自分らしく生きるためのお手伝いを、精神科ソーシャルワーカーは行っています。

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